SNSを独自のスタイルで活用し、近年では国内外のブランドとのコラボレーションでも話題のくらちなつきさん。どこか無国籍な空気をたたえたファッションイラストが人気を博しています。定期的に個展を開催するなど作家活動と並行し、様々なジャンルに活躍の場を広げる彼女に谷中「COUZT CAFE」でお話を伺いました。
「元々は美大で油画を専攻していましたが、おそらくこのままでは食べていくことができないだろうなと思って(笑)。性格的に企業勤めも向いていないと思い、大学2年の時にイラストレーターとして生きていこうと決めました。初めて自分で売り込みをしたのは大学4年生の時。それ以降、ファッションイラストレーターとして活動しています」。
時差を踏まえてアプローチする、
インスタを活用したPR術
ファッションブランド「KEISUKE YOSHIDA」とのコラボレーションは今回で6シーズン目。テキスタイル作品の提供や、アートワークをプリントで使ってもらうことも。アメリカやアジアなど、海外案件も増えているというくらちさん。仕事の始まりの大半はSNSだと話してくれました。
「KEISUKE YOSHIDAの仕事の始まりもインスタでメッセージを頂いたことが始まりでした。私の作品を見て、先方から声をかけてもらうこともあれば、自分から売り込むこともあります。例えば最近手がけたラスベガスのホテルのメインビジュアル。これは自分から彼らのためにイラストを書き下ろし、タグ付けしてPRしたことで仕事を頂きました。日本に比べて海外ブランドのPR担当さんたちは気軽に返事や感想をくれることもことも多いので、時差を踏まえて彼らの出勤時間にインスタをアップしたり。基本的に1日1作品はインスタにあげていますが、あげすぎてもフォロワーさんが減ってしまうので、ストリーズとのバランスを考えながら自分なりに更新しています」。
他のアーティストさんたちとの差別化
日常に馴染むテキスタイルを
今回、TOBIRAEのために書き下ろして頂いた4つの作品についても聞きました。
「家電の仕事依頼は初めてだったので最初はびっくりしました(笑)でも初めてのぶん、やりがいもあるなと。モチーフに関しては任せて頂けるとのことだったので、食にまつわるものや、スピーカー向けのもの、部屋に馴染む壁紙のようなもの等々。これまで参加されているアーティストさんたちと被らないよう、テキスタイルをベースにして日常に馴染む使いやすいパターンを意識して仕上げました」。
捨てるはずだったものを蘇らせる
冷蔵庫スピーカーの成り立ちに共感
TOBIRAEは役目を終えた冷蔵庫をスピーカーに、そしてアートピースに変換するというアップサイクルのプロジェクト。参加してみて、いかがでしたか?
「私自身ひとつのものを大切にする性格というか、ものを捨てることが好きではないので、冷蔵庫スピーカーのコンセプトにとても共感できました。最低限のものしか持たないシンプルな暮らしを心がけています。普段外を歩くときはJ-POP、家で作業するときにはアンビエントなどを聴くことが多いので、このスピーカーで聴きながらお仕事したいですね。無機質になりがちな冷蔵庫ですが、TOBIRAEでは女性の部屋向け、また海外向けに展開ができたら嬉しいです」。
こちらの一枚はくらちさんの仕事場。かつてインターンをしていたデザイン事務所の影響もあり、白を基調にシンプルな仕事場を心がげているそう。今後については音楽関係やCM、雑誌など未経験の分野に積極的に関わっていきたいと話してくれました。
5月には個展も控えているくらちさん。素敵なお話をありがとうございました。
くらちなつき個展「en route」
会期:5/25(土)-5/31(金)
12:00-19:00
会場:MIDORI.so2 Gallery
住所:107-0062 東京都港区南青山3丁目13 Commune 2nd
・入場無料
・お問い合わせ先 natsukikurachi@gmail.com
撮影:野崎 航正
取材:TOBIRAE編集部
撮影協力:COUZT CAFE
東京都台東区谷中2-1-11
http://www.couzt.com/
ファッションイラストレーター くらちなつき
1993年愛知県生まれ。 武蔵野美術大学油絵学科を卒業後フリーランスで活動を開始。 ファッションブランド「KEISUKE YOSHIDA」とのコラボレーション、 GINZAオンラインでの連載のイラスト、インドネシアのジュエリーブランド「From Tiny Islands」とのコラボレーション、その他エディトリアル、ウェブなどファッションにまつわるお仕事をメインに制作。代官山蔦屋書店での個展など展示も定期的に開催している。
https://www.instagram.com/natsuki_kurachi/